体がボロボロになっても現地採用の先輩と駐在員は休むことなく働いていました。
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休日出勤は当たり前。体を壊して入院しても仕事するのも当然。長期の入院はせず、無理して出社をする。そして持ち帰り残業も普通。
この時の私は実力不足で毎日持ち帰り残業をしていたが、まさか経験豊富で仕事ができる先輩と駐在員まで持ち帰り残業していると知って衝撃を受けました。下手すれば日本にいるよりも過酷な生活...。
複数の持病を抱え、他の人よりも体が弱いことを十分に自覚していた私は危機を覚えた。
仕事を続けても、いつか倒れてしまうだけでは...?
でもまだスキルや知識を磨いた自信はない。
この状態で日本に帰国したら下手すれば仕事がないのでは?
あと数年、頑張ったほうがいいのか...。
答えを出せずにいた私は気が付けば、淡々と仕事をこなすことしか考えないようになっていた。
仕事のことだけを考える方が楽だったから。
今思えば、完全に思考停止の状態になっていました。
ですが、ある日に起きた出来事により私は一気に目を覚めるのでした。
きっかけは一人の駐在員に言われた言葉でした。
仕事の相談から突然、現地採用の給料について不満を述べたのです。
「現地採用の費用は安くないって分かっているよね?!」
その後も、
現地スタッフとの給料の格差。
現地採用にかかる費用についてと説教が続く。
急に責められて頭が真っ白に。
聞いている間は「すみません」とひたすら頭を下げ続けました。
しかし。
帰ったその夜。
フィリピンに就職してから一番の大泣きをしました。
慣れない通訳の仕事で何度も失敗して大勢の前で恥をかいて我慢もして、
管理職扱いにより残業代が出なくても夜遅くまで仕事して、
おやつの時間がないのもがまんして仕事を続け、
あんなに睡眠時間を削って、体を壊してまで持ち帰り残業続けてやったのに...。
私は...なんのために頑張ってきたの!
溜めてた不満が爆発した私の頭から「海外就職後の目標」が完全になくなりました。
体を犠牲にしてる今でもダメなら、きっと今後も同じはず。
ならば答えは一つしかない。
退職しょう。
吹っ切れた私には何の迷いはなかった。
数日後、上司に退職届けを出すのでした。
...ここまで退職するきっかけを口にした駐在員が悪いかのように書いてしまいましたが、私にも落ち度はあります。
「現地採用の費用」のことを切り出した駐在員はいつもは誰にでも気を遣う、優しい人です。
しかし。
日本の本社からの強いプレッシャーに悩まされていました。
売り上げ・費用の管理とフィリピンと日本の調整もしないといけないというストレス。
きっと感情をコントロールできなくなり、つい「お金=現地採用の費用」の説教をしてしまったのでしょう。
実際に落ち着きを取り戻した駐在員から次の日。説教の件について謝罪されました。
ひどいことを言って本当にごめんと頭を下げてくれました。
その謝罪は間違いなく心からのものでした。
でもすでに体と心がボロボロだった私はそんなことを考える余裕がありませんでした。
働いても報われず、体が壊されてしまうだけ。
そんな風にしか考えられなくなっていた。
こうして退職を決意した私は海外就職後の大コケをするのでした...。